「未来の私たちのために、金融のセーフティネットを築きたい」――Theodore Kato氏と年金ファンド構想
31 May

特別インタビュー 2 |
「未来の私たちのために、金融のセーフティネットを築きたい」――Theodore Kato氏と年金ファンド構想

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記者:
前回のインタビューでは、年金ファンドを立ち上げたいというお話がありました。この構想は、どのようにして具体化してきたのでしょうか?
Theodore Kato氏:
この年金ファンド構想は単なる夢ではなく、むしろ“責任”だと感じています。
日本に帰国して数年が経ち、改めて金融の重要性を痛感しました。金融は決してマーケットのゲームルールだけで存在しているものではありません。いざという時、人々を守る最後の砦であるべきだと思っています。
私が目指しているのはただの投資商品ではなく、生活者のために作られたファンドです。
過度なリスクや短期的な投機に頼るのではなく、長期保有と安定的な複利運用を通じて、人々が老後も誇りと安心を持って生きられる仕組みを作りたいのです。
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記者:
具体的に、年金ファンドはどのような構造になっているのでしょうか?
Theodore Kato氏:
Geodeグループが世界の成熟市場で培ってきたポートフォリオ構築モデルを活用し、高度に分散されたマルチアセット型の運用を行います。
投資対象は、高格付けの米国債、安定成長が見込めるリート(REITs)、ヘルスケア関連銘柄、そして厳選した国内外の新規上場(IPO)案件などです。 特にIPOは重要な要素です。我々は米国およびアジア市場において、最前線のIPO案件にアクセスできる独自のチャネルを有しています。年金ファンド専用の投資枠を設け、成長ポテンシャルの高い企業の初期段階に参画し、長期的なリターンを取り込む計画です。
さらに、安定性を高めるため、ブロック取引や第三者割当増資などを通じ、主要株主や機関投資家と連携し、流動性・価格面で有利かつボラティリティの低い優良資産を優先的に確保していきます。こうした機会は通常の個人投資家が手にするのは難しいものです。
私の目標はこの本来は機関投資家に限られていた機会を、一般の方々にも開放し、参加できる形にすることです。

Theodore Kato氏は、守りを固めつつ攻める戦略で、賢明かつ長期的な資産形成をGeodeを通じて提案しています
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記者:
ということは、このファンドは“守り”だけでなく、“攻め”の要素も持っているのですね?
Theodore Kato氏(笑顔で):
おっしゃる通りです。老後資産の形成は、単に保守的であればいいわけではありません。
安全かつ賢明に、長期にわたって資産を増やしていく、いわば「人生の長距離マラソン」です。国債や定期預金だけでは、到底十分ではありません。
ですから、私たちは相対取引、戦略的なIPO投資、ファンダメンタルズ重視の銘柄選定という三本柱を駆使し、「守りを固めつつ、確実に前進する」ポートフォリオを計画しています。
特に、現在の日本IPO市場は制度改革や海外資本の回帰といった新たな機会を迎えており、私たちはその価値のある部分に精度高く関与できると確信しています。

Geodeは資産運用の標準化と透明化を通じ、一般の人にも機関投資家と同様の投資環境を提供することを目指しています
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記者:
仕組みとしては“準備ができた人向け”という印象ですが、一般の方も参加できるのでしょうか?
Theodore Kato氏:
もちろんです。そして、それこそが私がこの事業を手掛ける最大の理由です。 これまで、相対取引やIPOの初期投資といった機関投資家向けの機会は閉ざされた世界のものでした。
しかし、Geodeのプラットフォームを通じて、それらのリソースを標準化・透明化・長期化し、年金ファンドに組み入れることで、「一般の方々にも機関投資家の視点で未来に投資できる」環境を提供したいと考えています。
私はよく伝えています。「あなたが能力不足だったのではなく、これまで正しい場に呼ばれなかっただけなのです。」
だから私の役割は誰もが安心して座れる場を整え、その後の運用は専門家に任せられる仕組みを作ることだと思っています。

Theodore Kato氏は、Geodeを活用して一般の人々が主体的に未来を選び取る「参加型の資産形成社会」を築く、新しい年金ファンドの形を提示しています。
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記者:
つまり、この年金ファンドは単なる金融商品ではなく、社会的意義を持つ仕組みだということですね。
Theodore Kato氏:
まさにその通りです。これは「参加型の社会再構築」だと思っています。 資本を道具とし、信頼をつなぐことで、新しい社会の形を作りたい。
「ファンドを売りたい」のではなく、このファンドを通じて一人ひとりに「自分の人生を自分でコントロールできる」という感覚を持ってもらいたいのです。
言い換えると、これは単なる年金ファンドではなく、「未来の生活へのパス」です。
今この瞬間から、選択肢と誇りを持って生きるための手段なのです。
記者後記
私たちは気づかないうちに頼りすぎてしまいます──国の年金、家族、そして“運の良さ”に。
しかし、Theodore Kato氏が今回示したのは、「依存」ではなく、自分から関わる「参加」という新しい選択肢でした。
Geodeのグローバルネットワークを活用し、これまで限られた人しか触れられなかったIPOの機会や機関投資家向けの投資案件を一般の方でも使えるツールへと作り替える。
そして、年金ファンドという形を通じて、難解な金融の世界を、私たち一人ひとりの手の届く「生活保障プラン」に変換する。
これは単なる夢物語ではありません。
これは、いまここから始まる、具体的な行動の一歩なのです。
大島みち子 / oshimamichiko62@outlook.com
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